【チラシのデザインとか、レイアウト、どう作っていいかわからないんです!!】
それは、商業デザインの会社に入社して、デザイナーになった初心者の方によくある切実な相談です。
理由はカンタン。
自分の中でデザインに触れた経験値が少ない
これに尽きます。
デザインを作るには、デザインに大量に触れて、そのバリエーションの中から、好きになっていくという経験が必要です。
レイアウトをどう作っていいかわからないという方は、自分の中での【好きな】【良い】レイアウトの概念を持つに至っていない…。
デザインを好きになる経験を経ていないというのが理由のひとつです。
つまり、自分の中の優劣、好きなものの中からしか、デザインのコンセプトは発生しないということです。
例えば…。
好きなタレント
好きなスポーツ選手
好きな俳優
好きなアニメーションやキャラクター
それらを聞かれた時は、即座に、頭によぎる顔があります。
しかし、好きなチラシのデザインは?と聞かれて、頭の中によぎるデザインがどれほどあるでしょうか?
即座に、何パターンか、頭の中によぎる人は、ある程度、下地ができている方だと言えます。
そして、その問いに対して、自分の趣味趣向のみでなく、他人にどうアプローチできるから好きだ、という、他人基準の幅広いデザインを思い浮かべることができる人は、かなり、プロに近いモノの見方ができている人だと言えます。
興味がないものでも、自分のデザインという枠の中に投げ込んで、興味の対象にしてきた人だとわかります。
その人は、きっとデザインが、本当に大好きな人なのでしょう。
好きを、いろいろな人の視点や、バリエーションで表現できる人は、かなり強い!と断言できます。
例えば、
絵にならない素材を、こんな切り口で表現できるなんて、好き!
一般人が興味ないものを、こんなに愛情豊かに表現できるなんて、好き!
この絵の表現力を活かした絵でこんなデザインができるなんて、好き!
かっこよすぎて、嫉妬するくらいだけど、好き!
大嫌いなこんな色、どうして、こんなに綺麗に見えるの?好き!
全く興味ない世界のチラシだけど、なんだか惹かれる。好き!
更に言えば、
これは、この世代に強くアピールできるデザインだから好き!
これは、このターゲットユーザーを取り込む手段になりそうだから好き!
この手法は、自分を次のステージに連れて行ってくれそうな成果を出せるかもしれないから好き!
好きという気持ちにはワクワクさせるものがあります。
そして、それは、他人を巻き込んでいけるかも!と思える時に発生する興奮です。
しかし、デザインを作成するキャリアが浅い新人さんは、どうしても、自分の視点が抜けません。全く興味が無い世界のデザインや、レイアウトは、なかなか、目に入ってこないものです。
また、嫉妬するくらいの能力は、目をそらしたくなるもの。バカにしたくなるもの。
敢えて、他人の視点や、想像力による、感受性の素直なアンテナを鋭敏に働かせていく努力がなければ、【スペシャルな好き】は発見できないとも言えます。
そして、その作業自体は、デザインの作業ないでも培われますが、自分で積極的にデザインに触れ、自分から発見しにいくことで、更に、自分の中で蓄積するものは大きくなります。
そして、他人を巻き込んでいくデザインを創り上げる!という、知識欲と、好奇心がなければ、好きは発見できないはずです。
もう、皆もわかっている通り、デザインは、好きになるという感情が非常に大事な仕事です。
このレイアウトカッコいいとか、好き!という感情で、自分の感覚は作られ鍛えられてていきます。
苦手な分野のレイアウトでも、ほんのわずかな好き、比較的好きという部分を自分で認識することにより、どうやって作っていけばいいかが見えて来ます。
そして、好きを、段階的に自分の中で作り上げて【好きの階層化】ができると、様々なデザインのバリエーションでレイアウトが評論ができるくらい見る目を養うことができます。
そこまでできたら、今度は自分自分の感覚で作品を作ってみます。
自分で作ったものは、思ったより上手くいかないもの。
まず、原稿が違うし、写真が違う。
商材が違うという状態で、自分が作ったものが、自分の求めているクオリティに達しているかと言うと、はるかにかけ離れたものになることは容易に想像できます。
むしろ、慣れ親しんだ作り方で作ったチラシのデザインの方が、遥かに良いものができる可能性が高いのです。
そのクオリティを埋めていく作業が上達に繋がります。
配置なのか、書体づかいなのか、写真のクオリティなのか、色使いなのか。
それぞれの相性なのか、大きさの問題なのか。
頭の中で考えられることを最大限に試行錯誤しながらも、おそらく、そのレイアウトはモノにならないことが多いかもしれません。
それでも、飽くことなく、デザインに触れ続け、やり続けることが大事です。
●自分の中でデザインに触れ、経験値を蓄積する方法ですが、とにかく、デザインを【観る】という方法もひとつです。
そして、常に、デザインを観察できる環境を作り上げることは、自分の能力を上げることに繋がります。
また、トレーニングの方法のひとつの案として、以下の方法があります。
上記の1〜4までの作業をさまざまなデザインで繰り返すと、レイアウトセンスがかなりアップします。
例えば、「よし、これでカッコよくなった!!」と、ウキウキしながら、クライアントに見せると、そう言う時に限って、写真の差し替え、バランスの変更が起きて、自分が感じる、良いレイアウトから、遥かに遠く離れていく完成形になるのです。
ストレスを抱えながら、前のデザインの方がよかったのになぁと考えながらも、実は、自分でも、修正していくうちに、何が良いレイアウトなのかよくわからなくなります。
そして、良いレイアウトか、悪いレイアウトかわからなくなったら、そのレイアウトは、大体、よくないレイアウトであることが多いと思ってください。
そう言う時は割り切ることが大事。
全部を捨て去って、新たなレイアウトを組む。という覚悟も更に必要になってきます。
そういう場合には、提出したレイアウトを修正したものと、
全く新規で作成したレイアウトを、2種類作成することも必要かもしれません。
作成したレイアウトを一旦寝かせるということも大事です。
疲労した頭を休めて、再度、翌朝くらいにもう一度確認を行うと、いろいろなものが見えてきます。
実は、頭の中でも勢い(慣性の法則)のようなものがあって、手をかけていれば手をかけるほど、一歩引いて見ることができなくなるのです。
だからこそ、一度、違う作業をした後に再度レイアウトを確認すると、こだわりすぎて、バランスが崩れていた仕様の部分などが見えてきます。
執着がある部分を、切り離せることができるようになると、ようやくレイアウトが落ち着くということがあります。
デザイナーは、基本的に自分が作成したものでも第三者的な見方ができるようになれば、その能力が上がって行くと感じています。